サンダーバードで「なんちゃってパチプロ」
私がパチンコで最初に出会った攻略は西陣のサンダーバードだった。
まあ攻略といっても釘調整で対処されてしまう程度のものだったから、それほど大げさに言うほどの事でもないのだが、普通の釘調整だとかなり美味しかった。
当時は一発台が流行りだしの時期で、権利物はヤクモノ付近のパンク穴を塞いでいる店が多かった。
サンダーも、一発台として使う店が多く、これを打つために店を探して、あちこち彷徨った懐かしい思い出がある。
この頃は、まだ18歳の頃で、当然パチプロとしてのネットワークなど持ち合わせてなくて、基本的に店は全て自分ひとりで脚を使ってという事になる。
まだあちこち遠出した事の少ない年齢だった私にとって、この頃の生活は全てが新鮮でとても懐かしい記憶になっている。いま思えば大した遠出でも無いのだけどね。
そんな少年が何故サンダーの攻略を知ったかのだが、単純に考えるとプロを見て覚えたと思われるかもしれないが、そういうわけでもなかった。
その頃はまだ新装開店というとかなり大掛かりな一大イベントだった頃で、新台に座れれば誰でも必ず勝てたのではないだろうか。
そんな時期にパチンコをやりだした私なのだが、やはり新台のシマでしか勝った記憶はほとんど無かった。
しかしそういう状況の中で、サンダーバードという台だけはかなり風変わりな台に見え、これなら偶然勝てることもあるのではと思い、なけなしに近いカネで挑んでいた時の出来事だ。
あるとき、ちょっとよそ見をしていた僅かな隙にチューリップが開いていた。一発台をやっていると誰でもあることだろう。
1万円のチューリップが開いただけでもう満足で、入るところなんて見れなくてもどうでもよかったのだが、
しかし、そのとき、右隣に座っていた知らないおじさんがひと言、
「今、右から真横に飛んで入ったね!」と、少々興奮気味に知らせてくれた。
きっと相当珍しい入り方をしたんだろうという気がして私も何となく気になった。
一応、人と同じ事をしていても勝てるものでもないことは解っていたつもりだったから、入賞ルートを自分なりに懸命に考えてみた。
ゴムのあたりを通して狙うのがありえそうな感じがしたとき、そういえば1人だけ変わった人がいた事を思い出した。
ただ、一度だけ、しかも近くを通ったときに一瞬見かけただけだったからゴムのあたりに打っていたということくらいしか記憶は無く、全く気にも留めていなかったのでその時は気付かなかったのだ。
なけなしに近いカネで奇抜なストロークを試すのは少し勇気が必要なのだが、この読みが上手く的中し、これが、その後つづくパチンコ生活の本格的な始まりになった。
サンダーの一発調整というのは大抵、アタマ下の飛び込み口は塞いであり、「マド」と呼ばれる窓のような形をした盤面の穴のような部分からの入賞のみだったが、これが入りそうで入らない。
入賞口の大きさは調整できないからその周辺の釘調整が極端なマイナス調整だ。しかし、ごくたまにだが、玉が暴れて入ることがある。これが本来の入賞パターンだ。
しかし、それとは全く違う、盤面右上はしのゴムをかすめるように通し、風車横あたりのバラ釘、ナナメに3本並んだ部分を使ってダイレクトに入る入賞ルートを発見したのだ。
こりゃスゴイと思った。
微妙な釘調整の違いや、台のネカセ、盤面とガラス枠との微妙な個体差など色々な要素はあったが、200円で入ることも普通にあった。
これは笑いが止まらない。
それまで、アルバイトでもあまりいい思い出もなかった私にとって、これは渡りに船というものだ。
当然、時間の許す範囲ではあったが、全力で稼いだ。
しかし、世の中そう甘くは無い。すぐにパチプロの世界を知らされることになる。
こういう美味しい話は必ず同じ事をしているプロがいるからだ。
ある時、呼ばれて、休み休みやってバレないようにやってる事を説明され、それまでのような純粋に力を出し切る姿勢は変更を余儀なくされた。
のちに他の店で打つようになって、最初の店の最初のシマが素性的にデキが良かったことがわかると、さらに自分の運のよさを感じた。ネカセの具合によっては、きれいな釘でも全く入らない店もあり、そういう店を見つけたときは、打ってみてから分かるから少し気恥ずかしい。
この頃一発台のシマで出会った人たちとはその後も日常的に顔をあわせることもよくあったりして、攻略プロとして動き続ける中でも初心を忘れることなく居られた大きな要因の1つだったという気がしている。攻略法で稼ぐ時でも釘読みにはこだわったりしたのも、私の性格とは別にこういった部分があったからに他ならない。
吸いもしないタバコを毎日毎回受け取りつつ稼いだが、サンダーが打てなくなるにつれ他の一発台も打つようになると懐具合も寂しくなり、この後に訪れるデジパチ、テンカウント1号機の攻略ブームまではかなり苦戦し続けたものだ。
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